企業のSNSメリット・デメリット|目的別の判断基準と費用比較【2026年10月】
企業のSNS活用のメリットは「広告費をかけずに、顧客や求職者と継続して接点を持てること」、デメリットは「効果が出るまで時間がかかり、投稿する人手と、炎上・乗っ取りへの備えが要ること」です。「うちもSNS(Social Networking Service)をやるべきか、今はやらない方がいいのか」を判断したい中小企業の経営者・広報担当者に向けて、やるべきかどうかは、目的(集客・採用・ブランド)、続けられる人手、費用対効果の3つで決まる、という見方を軸に整理します。この記事では、目的別のメリット・デメリット、媒体別の特徴、他の手段との費用比較と人件費の試算、企業の事例、効果測定、炎上などのリスク管理、運用代行会社の選び方を順に取り上げます。
企業はSNSをやるべきか?メリット・デメリットを踏まえた結論
先に言い切ると、SNSは「やった方がいい」「やらない方がいい」のどちらか一方に決まるものではなく、目的・人手・費用対効果の3条件がそろう会社にだけ向いています。目的(集客・採用・ブランドのどれを優先するか)が1つに決まっていて、担当者が週数回の発信を成果が見えるまで続けられる見込みがあり、広告や求人媒体など他の手段と比べても費用対効果が見合う会社は、SNSをやるべき会社です。逆に、今月中に成果が欲しい、社内に継続して担当できる人がいない、という会社は、無理にSNSを始めるより他の手段を優先した方が早く結果に近づきます。
判断の材料として、企業側から見たメリットとデメリットを先に並べておきます。
観点 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
費用 | アカウントの開設や基本機能に料金がかからない(LINE公式アカウントにも月額0円のプランがある) | 無料なのは利用料だけで、投稿する担当者の時間は人件費として発生する |
届け方 | 写真・動画で会社や商品の雰囲気を繰り返し見せ、見込み客や求職者の不安を減らせる | 投稿が止まると、かえって「更新されていない会社」という印象になる |
顧客との関係 | コメントやチャットで、お客様一人ひとりと直接やり取りできる(LINEにはチャット機能がある) | 返信の担当と速さを決めておかないと、対応が遅れて不満につながる |
成果 | 広告のように止めた途端に消えるのではなく、投稿が資産として積み上がる | フォロワーが増えても売上や応募に直結するとは限らず、効果が見えるまで時間がかかる |
リスク | 自社の考えや取り組みを、自分の言葉で発信できる | 不適切な投稿・乗っ取り・ステルスマーケティング規制の違反が、会社全体の信用に響く |
それぞれの項目が自社にとってどのくらい重いかは、目的によって変わります。次章から、目的別に見ていきます。
企業がSNSを使う目的は3つ|集客・採用・ブランド別のメリット・デメリット
企業がSNSを使う目的は、大きく分けて集客(新規顧客の獲得)・採用(人材の確保)・ブランド(認知や信頼の積み上げ)の3つです。目的別の判断とは、同じ「SNSをやる」でも、集客目的と採用目的とブランド目的では向く条件も向かない条件も違うという前提で考えることです。目的を1つに絞らないまま始めると、何をもって成功とするかが社内で決まらず、効果が見えないまま続けることになりがちです。
目的 | メリット | デメリット | 向く条件 | 向かない条件 |
|---|---|---|---|---|
集客(新規顧客) | 広告費をかけずに、興味関心層へ継続して情報を届けられる | フォロワーが増えても購買・来店に直結するとは限らず、効果が出るまで時間がかかる | 写真・動画で商品や店舗の魅力を伝えやすい/担当者が週数回の投稿を続けられる | 今月中に成果が欲しい/広告のような即効性を求めている |
採用(人材確保) | 求人票だけでは伝わらない社風・現場の雰囲気を繰り返し見せられる | 「出せば応募が増える」保証はなく、求人媒体や人材紹介より即効性は低い | 若手層の採用で現場の雰囲気を重視する職種/継続して発信できる担当者がいる | 今すぐ欠員を埋めたい/求人媒体や人材紹介の方が早く決まる状況 |
ブランド(認知・信頼) | 会社の考え方や取り組みを定期的に発信し、認知・信頼を積み上げられる | 成果が売上や応募数などの数字に直結しにくく、社内で評価されづらい | 中長期で会社の見え方を育てたい/経営者自身が発信に関われる | 短期間で売上や応募につなげたい(他の手段を優先した方がよい) |
この3つの目的の実態を裏付けるデータとして、総務省が企業にソーシャルメディアサービスの活用目的を直接尋ねた調査があります。インターネットを利用している企業のうち、ソーシャルメディアサービスを活用している企業の割合は36.0%で、活用目的は「商品や催物の紹介、宣伝」が67.9%、「定期的な情報の提供」が53.0%、「会社案内、人材募集」が40.1%と続くと報告されています。調査時点は平成30年(2018年)と古く、企業にSNSの活用を尋ねた項目は、令和元年(2019年)〜令和7年(2025年)の「通信利用動向調査報告書(企業編)」を開いて「ソーシャルメディア」で検索した範囲では見当たりませんでした。そのため、これは最新の実態ではなく、企業がSNSに期待する目的の並び方を知る参考としてお使いください。宣伝(集客)・情報提供(ブランド)・人材募集(採用)という3つの活用目的は、本記事の目的分けとおおむね一致しています。
採用目的でSNSを使うときの向き不向きは、SNS採用のデメリットでさらに詳しく整理しています。
企業のSNS媒体別の特徴|X・Instagram・Facebook・LINE・YouTube・TikTokの使い分け
企業のSNSの媒体選びとは、どの媒体が流行っているかではなく、届けたい相手が普段どの媒体を使っているかで決めることです。総務省の調査で、主な媒体の利用率を年代別に確認できます。
媒体 | 全年代の利用率 | 利用率が最も高い年代 | 企業の使い道の例(編集部の整理) | 運用の注意点 |
|---|---|---|---|---|
LINE | 92.9% | 10代〜60代で90%超(70代は77.8%) | 既存のお客様への連絡、予約、クーポン、チャット対応 | LINE公式アカウントはプランごとに無料で送れる通数が決まっている(次章の表を参照) |
YouTube | 81.5% | 20代96.3%(10代〜40代で90%超) | 商品や仕事の中身を、時間をかけて詳しく見せる | 動画の制作に手間がかかり、1本ごとの準備が重い |
54.8% | 20代82.6%(女性の利用率が高い) | 店舗・商品の写真や動画、採用での社内の雰囲気の発信 | 写真・動画の素材を継続して用意する体制が要る | |
X(旧Twitter) | 44.7% | 20代73.4% | お知らせや情報発信、利用者からの声への反応 | 発言がそのまま会社の発言として受け取られやすく、投稿前の確認が要る |
TikTok | 36.7% | 10代67.9% | 若い層への認知づくり、採用での会社紹介 | 縦型ショート動画の企画と編集が継続的に必要 |
27.0% | 40代38.9%(30代37.4%) | 30〜40代の経営者・担当者向けの発信、地域・取引先との接点 | 利用率が低めのため、届けたい相手が使っているか先に確認する |
総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)」(令和8年6月、全年代・各年代を含む1,800人への調査)の数字です。個人の利用率であり、企業が投稿して成果が出る確率を示すものではありません。
使い分けは、次の3つの順で考えると迷いにくくなります。
- 届けたい相手の年代と、普段使っている媒体を決める(上の表で利用率を確認する)
- 目的(集客・採用・ブランド)に合う使い方を選ぶ(予約・連絡ならLINE、雰囲気を見せるならInstagram、詳しく説明するならYouTube、など)
- 担当者が続けられる形式(写真・短い動画・長めの動画・文章)に合う媒体を、1〜2つに絞る
媒体の機能は、運営会社の都合で変わったり終わったりすることもあります。LINEヤフーの公式案内では、LINE公式アカウントのLINE VOOMは2026年9月30日に提供を終了したとされています。1つの機能に集客を頼り切らず、公式アカウント本体と、お客様との連絡手段を軸に組み立てておくと影響を受けにくくなります。
企業のSNSにかかる費用|広告・求人媒体との比較と人件費の試算
SNSは開設や基本機能の利用にお金はかからない代わりに担当者の時間がかかり、広告は使った分だけ、求人媒体は基本無料で有料オプションを使った分だけ費用が出ていきます。SNSだけを見て判断せず、同じ目的を達成できる他の手段と「お金がいつ・どんな条件で出ていくか」を並べると、自社に合う手段が見えやすくなります。
手段 | 主に効く目的 | 費用のかかり方 | 確認できた情報 |
|---|---|---|---|
SNS発信(インスタ・X・LINE公式アカウントなど) | 集客・採用・ブランドいずれにも使える | 運用コスト型(投稿を担当する人の時間、または委託費) | アカウント開設や基本機能の利用そのものに料金はかからないが、続ける人の時間がかかる(後半で試算)。LINE公式アカウントは月額0円(月200通まで)・5,000円(月5,000通)・15,000円(月30,000通)の3プランがある(税別) |
Web広告(検索広告・SNS広告) | 集客 | オークション型・クリック課金 | Google広告公式ヘルプで、予算は1日に消費する平均費用として設定し、日によっては1日の平均予算の2倍まで使われることがあるが、1か月の費用は1日の平均予算×30.4を超えないよう調整されると説明されている |
求人媒体(Indeedなど) | 採用 | 基本無料+任意の有料オプション | Indeed公式ヘルプで、求人情報はそのまま無料で掲載でき、料金が発生するのはスポンサー求人という任意の有料オプションを使った場合だけだと説明されている |
自社ホームページ | 集客・ブランド | 制作費(初期)+保守費用型 | 料金は制作会社・ページ量によって個別に決まり、相場として示せる公的データは見当たらない |
紹介・口コミ | 集客・採用 | 現金負担は軽いが仕組み化しにくい | 紹介時の謝礼条件は各社の社内規定によるため、共通の外部データはない |
見落とされがちな「社内の人件費」を試算する
SNS発信そのものの利用料は無料でも、担当者が投稿を作る時間には人件費というコストがすでに発生しています。ここを数字に入れずに「SNSは無料だから始めよう」と判断すると、後から「思ったより手間がかかる割に成果が見えない」という評価になりやすいため、始める前に次の3つを概算しておくことをおすすめします。
- 担当者の他の業務量もふまえ、無理なく続けられる投稿の本数・頻度をまず決める
- その頻度を守るために、社内の誰が何時間を使うことになるかを時給換算し、目に見えない人件費として数字に入れる
- 外部に委託した場合の見積額と、委託によって浮いた社内の時間を他の業務に回せるかどうかを比べる
試算のしかたの例を表にします。表の数字はすべて「仮に置いた数字」で、実際の金額ではありません。1本あたりの作業時間(企画・撮影・編集・投稿・コメント返信)と、1時間あたりの社内コスト(給与や社会保険料などを含めた金額)は、自社の実際の数字に置き換えてください。
項目 | 週2本 | 週3本 | 週5本 |
|---|---|---|---|
月の投稿本数(4週で計算・仮) | 8本 | 12本 | 20本 |
1本あたりの作業時間(仮) | 3時間 | 3時間 | 3時間 |
月の作業時間 | 24時間 | 36時間 | 60時間 |
1時間あたりの社内コスト(仮) | 3,000円 | 3,000円 | 3,000円 |
月の人件費 | 72,000円 | 108,000円 | 180,000円 |
年間の人件費(月×12) | 864,000円 | 1,296,000円 | 2,160,000円 |
この3つを概算した上で、自社でやった場合の人件費と、外部に委託した場合の費用を並べて比べると、「安いから自社でやる」「高いから外注はやめる」といった単純な比較では見えてこない判断ができます。運用費用の3パターン比較はインスタ運用の費用はいくら?でも取り上げています。
SNS運用を任せたい・相談したい企業の方へ:運用代行・運用支援のご相談はこちら(株式会社PEACE)
企業のSNSが効く場面・効かない場面と、成果を公表している3社の事例
SNSが効きやすいのは、写真や動画で「どんな会社か」を繰り返し見せることで、見込み客や求職者の不安や迷いを減らせる場面です。前述のとおり、宣伝・情報提供・人材募集という3つの活用目的は、継続した発信があって初めて効果が積み上がるという共通点を持っています。
一方で、効きにくい場面もはっきりしています。
- 今月の売上や今月の応募数など、短期間での結果を求めている場面(広告や求人媒体の方が速い)
- 投稿を数本作って終え、継続する体制が社内にない場面
- 何のためにSNSをやるのか(集客・採用・ブランドのどれか)を決めないまま、アカウントだけを作って止まっている場面
SNSは「アカウントを作れば自然と成果が出る」施策ではありません。目的を1つに決め、その目的に合った投稿を継続できているかどうかで、効果の出方が大きく変わります。
効く場面の実例として、LINEヤフーが公式ページで紹介している3社の事例を挙げます。いずれも事業者自身が公表した数字で、業種・地域・規模が違えば同じ結果になるとは限りません。
企業 | 業種・場面 | 公表されている成果 | 読み取れること |
|---|---|---|---|
L’la citta(新潟県) | 美容院。「LINEで予約する方がお得」と案内し、お客様をLINEへ誘導 | 8年で3,400名を超える友だちを獲得。電話対応時の予約の機会損失を解消 | 目的が「予約を取りこぼさないこと」と明確で、媒体の機能と結びついている |
ビューティー サロン Be+ | 美容サロン。クーポンの配信と、再来店を促すショップカードを活用 | 実質スタッフ1名で250名以上のリピーターの来店につながった | 少人数でも、配信や特典の仕組みを使えば続けやすい |
JPCスポーツ教室安城店 | スポーツ教室。イベント情報をLINE公式アカウントで配信 | 約190組560名が来場し、7割が入会につながった | 「イベント→入会」のように、成果までの道筋が1本に決まっている |
3社に共通するのは、集客・採用・ブランドのうち目的が1つに絞られ、予約・再来店・入会という自社で数えられる成果に結びついている点です。複数の店舗や拠点を持つ企業は、本部が目的と数える指標を決め、各店舗の担当者が運用する形にすると、同じ型を横に広げやすくなります。
出典:LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント」(サービス紹介・事例)(2026年10月4日確認)
企業のSNSの効果測定|目的別のKPIの置き方と、毎月のPDCAの回し方
KPI(重要業績評価指標)とは、売上や採用人数といった最終の成果に近づいているかを、途中で確かめるための数字のことです。SNSでは、最終の成果は自社で数え、SNSの管理画面で見る数字を「途中の指標」として組み合わせます。
目的 | 最終の成果(自社で数える) | 途中の指標(SNSの画面で見る) | 数え方の例 |
|---|---|---|---|
集客 | 問い合わせ・来店・予約の件数 | プロフィールのアクティビティ、閲覧数、LINEの友だち数 | 予約時に「何を見て来たか」を聞いて記録する |
採用 | 応募数・面接に進んだ人数 | 閲覧数、保存・シェアの数 | 応募者に、SNSを見たかどうかをアンケートで聞く |
ブランド | 会社名での問い合わせ、取引先からの言及 | 閲覧数、インタラクション(いいね・コメント・保存・シェア) | 営業先で、SNSを見ていたか聞き取る |
Instagramの場合、Instagram公式ヘルプでは、公開アカウント(個人用またはプロアカウント)であれば無料でインサイトを見られると説明されています。投稿ごとに見られる主な数字は次の3つで、投稿のインサイトは最大2年間表示できます。
- 閲覧数:コンテンツが表示された回数
- インタラクション:「いいね!」、コメント、保存、シェアなど、利用者がとったアクションの回数
- プロフィールのアクティビティ:投稿にエンゲージメントしたあと、プロフィールを見て利用者がとったアクションの数
インサイトの全体像はInstagramインサイトについてにまとまっています。数字を見る役割は担当者に任せきりにせず、月に1回、上司や経営者に報告する場を作ると、続けるか見直すかの判断がしやすくなります。
毎月のPDCA(計画・実行・確認・改善のサイクル)は、次の流れで回します。数字の目標そのものは、自社の過去の数字や目的から決めるもので、この記事では特定の数値を示しません。
- 計画:月初に、目的に合わせて「見る数字」を1〜2個に絞り、その月の目標を決める
- 実行:決めた本数・頻度で投稿する。投稿ごとに、日付・形式・テーマを記録しておく
- 確認:月末に、数字が高かった投稿と低かった投稿を3本ずつ並べ、形式やテーマの違いを見る
- 改善:次の月は、高かった型を増やし、低かった型を減らす。目的や媒体の見直しは、数か月に1回(間隔は社内で決める)行う
企業のSNSのデメリット|炎上・乗っ取り・広告表示のリスクとガイドラインの作り方
SNSのデメリットとして見落とされがちなのが、公式アカウントの管理リスクです。総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」では、企業の公式SNSアカウントについて、公式アカウントでの投稿は企業や組織を代表するものと受け取られ、アカウントの管理が不十分で不正行為による被害に遭った場合は、企業や組織のブランドイメージを大きく損なう可能性があると注意喚起しています。あわせて、IDやパスワードの適切な管理、利用規約の遵守、著作権・肖像権の侵害防止も、業務でSNSを使う際の留意点として挙げられています。
ブランド目的でSNSを続けている会社ほど、「積み上げてきた認知が、1回の不適切な投稿や管理不備で損なわれるリスク」を、始める前から想定しておく必要があります。投稿前の確認担当を決める、個人のアカウントと会社のアカウントの使い分けを明確にするといった運用ルールは、発信を始めるタイミングで決めておくと後の手戻りが少なくなります。
社内のSNSガイドラインに入れる5項目
SNSガイドラインとは、業務でSNSを使うときに守ることを文書にしたものです。総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」は、業務でSNSを使った情報発信をするときの注意点として、次の5点を挙げています。そのままガイドラインの項目にできます。
- 企業や組織のブランドイメージを損なう発言をしない
- 第三者にアカウントを乗っ取られないよう、IDやパスワードなどアカウント情報を適切に管理する
- 利用するサービスの規約を守る
- メンテナンスなどでサービスが使えないときの運用を決めておく
- 発信内容が著作権や肖像権の侵害に当たらないようにする
アカウントが乗っ取られたとき
同じサイトの事例では、有名なキャラクターのSNS公式アカウントが乗っ取られ、同じキャラクターの偽アカウントも作られた例が紹介されています。当時20,000人以上いたフォロワーの前で、旧アカウント・新アカウント・偽アカウントの3つが同時に存在する状態になり、運営者もフォロワーも混乱したとされています。対処法として、乗っ取りや偽アカウントが分かったときは、当該アカウントの停止をSNSの提供会社へ速やかに依頼すること、予防法として、簡単なパスワードを使わず、できる限り多要素認証を設定することが挙げられています(事例7 公式アカウントが乗っ取られた)。
広告であることを隠すと違反になる(ステマ規制)
消費者庁によると、2023年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す「ステルスマーケティング」は景品表示法違反の対象になっています。企業がインフルエンサーなど第三者に依頼・指示した投稿も広告に含まれ、SNS投稿も対象です。規制の対象は商品・サービスを提供する事業者(広告主)で、依頼を受けた第三者ではありません。消費者庁「ステルスマーケティング」。社員の個人アカウントや取引先に自社の商品を紹介してもらうときは、広告であることが分かる表示を付けるルールをガイドラインに入れておきます。
炎上や誹謗中傷を受けたとき
不適切な投稿や誤解を招く投稿があったときに慌てないよう、初動の流れを決めておくことをおすすめします(以下は当社が整理した例で、公的な基準ではありません)。
- 予約投稿や広告など、これから出る予定の投稿をいったん止める
- 何が起きたのか、事実を確認する(投稿の内容・時刻・投稿した人)
- 決裁者へすぐ報告し、おわびや説明を出すかどうか、誰がどの言葉で出すかを決める
- 返信やコメントの対応担当を1人に絞り、バラバラな返信をしない
- 事実と違う書き込みや誹謗中傷を受けたときは、違法・有害情報相談センター(総務省委託事業・相談は無料)に、削除の進め方などを相談する
これらは、投稿前の確認担当を決める、個人のアカウントと会社のアカウントの使い分けを明確にするといった運用ルールと同じく、発信を始めるタイミングで決めておくと後の手戻りが少なくなります。
SNS運用を任せたい・相談したい企業の方へ:運用代行・運用支援のご相談はこちら(株式会社PEACE)
企業がSNSを外注・自動化するときの判断ポイントと、運用代行会社の選び方
社内でSNSを抱えるか、外部に任せるかは、単純な費用の高い安いだけでは決められません。SNS運用代行とは、投稿の企画・作成・分析などの一部または全部を外部へ委託する手段のことで、社内の時間を他の業務に回せる一方、委託先とのすり合わせや確認の手間が新たに発生します。
次の観点で自社の状況を確認してから決めると、後からの手戻りが少なくなります。
- どの目的(集客・採用・ブランド)を優先するかが、社内で1つに決まっているか
- 前述の人件費の概算と、外部委託の見積額を並べて比べられているか
- 撮影済みの映像や写真など、ゼロから作らずに使える素材が社内に残っているか
社内に撮影済みの動画・写真が残っているなら、新しく撮り直さず、そこから短い尺に組み直す方法も選べます。具体的な手順はYouTubeショートの作り方にまとめています。使える素材が手元になく、ゼロから映像を用意したい場合の選択肢はAI動画生成ツールおすすめで比較しています。来店・問い合わせを増やす集客目的でインスタを使う場合は、プロフィールや投稿からの導線の作り方が少し異なるため、インスタ集客の効果で詳しく解説しています。
運用代行会社を選ぶときに、見積もり・契約で確認する7項目
SNS運用代行の料金について、公的機関が示している相場は確認できませんでした。そのため金額の目安は書かず、複数社の見積もりを同じ物差しで並べるための確認項目を示します。前章の人件費の試算と同じ項目(本数・1本あたりの時間)で並べると、比べやすくなります。
確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
業務の範囲 | 企画・撮影・編集・投稿・コメントや問い合わせへの返信・数字の報告のうち、どこまで料金に含まれるか |
投稿の本数と媒体 | 月に何本、どの媒体まで含むか。追加するときの単価が決まっているか |
アカウントの権限 | 自社がアカウントの所有者のまま、委託先には必要な作業に限った権限だけを渡せるか。Metaのヘルプでは、パートナーにコンテンツの作成やメッセージへの返信など特定のタスクだけを許可する部分的なアクセスを付与できると説明されている |
アカウントの守り方 | 二段階認証を有効にしているか、業務上必要な範囲の権限だけを割り当てているか(Meta「ビジネスポートフォリオにユーザーを追加してビジネスアセットを割り当てる」) |
報告の頻度と数字 | 月に何回、どの数字(前章のKPI)で報告してもらえるか。数字の取り方は自社でも確認できるか |
法令・規約の遵守 | 広告であることの表示(ステマ規制)、著作権・肖像権の確認を誰が行うか |
契約期間と終了時 | 最低契約期間、解約の条件、終了後に撮影素材や運用データを引き継げるか |
見積もりを取る前に、自社の目的と、前章のKPIの案を社内で1枚にまとめておくと、各社の提案を同じ土俵で比べられます。インスタ運用に限った費用の比較はインスタ運用の費用はいくら?もご覧ください。
代表コメント(株式会社PEACE 古澤)
企業がSNSをやる理由は、集客、採用、会社のブランド力、そして利益を上げるためです。PEACEでは運用を始める前に、目的の整理、コンセプト、KGI・KPI(最終目標と途中の数字)、投稿のカテゴリまでを先に設計しています。 何のためにSNSをやるのか、そこから一緒に整理したい方は、気軽に相談してください。
よくある質問(FAQ)
企業はSNSを必ずやるべきですか?
必ずやるべきとは言えません。目的(集客・採用・ブランドのどれを優先するか)が決まっていて、担当者が成果が見えるまで発信を続けられる見込みがあり、他の手段と比べても費用対効果が見合う場合に向いています。この3つのうちどれかが欠けている場合は、無理に始めるより他の手段を先に検討した方が早く結果に近づきます。
SNSをやらない方がいい会社はどんな会社ですか?
今月中に売上や応募数を増やしたいなど、短期間での成果を求めている会社には向きません。広告や求人媒体の方が、支払った分の効果が早く見えます。また、投稿を継続する担当者を社内で確保できない会社も、途中で更新が止まり、かえって印象を悪くするおそれがあります。
集客・採用・ブランドのどれを優先すればいいですか?
今、社内で一番困っていることに合わせて決めるのが現実的です。問い合わせや来店が足りないなら集客、応募が足りないなら採用、会社の知名度や信頼を底上げしたいならブランドです。複数の目的を同時に追うと、投稿内容がぶれて、どの目的の数字も伸びにくくなります。
企業のSNSは、どの媒体から始めればいいですか?
届けたい相手が使っている媒体から始めます。総務省の調査(令和7年度)では、LINEの利用率が92.9%、YouTubeが81.5%、Instagramが54.8%、X(旧Twitter)が44.7%、TikTokが36.7%、Facebookが27.0%でした。ただし個人の利用率であり、企業の成果を示すものではないため、目的と担当者が続けられる形式も合わせて、1〜2媒体に絞って始めることをおすすめします。
企業のSNSの効果は、何の数字で見ればいいですか?
最終の成果(問い合わせ・来店・応募など)は自社で数え、SNSの画面では閲覧数、インタラクション(いいね・コメント・保存・シェア)、プロフィールのアクティビティなどを途中の指標として見ます。Instagramのインサイトは、公開アカウントなら無料で見られます。
SNSで炎上したら、まず何をすればいいですか?
予約投稿や広告など、これから出る予定の投稿を止め、事実を確認し、決裁者に報告して対応を決めます。誹謗中傷や事実と違う書き込みを受けた場合は、総務省委託事業の違法・有害情報相談センターに無料で相談できます。事前にガイドラインと初動の担当者を決めておくと、慌てずに済みます。
SNS運用にかかる本当のコストはどう計算すればいいですか?
外部に委託する場合の見積額だけでなく、自社でやる場合に担当者が投稿に使う時間を時給換算した人件費も含めて計算します。「利用料は無料だから自社でやる方が安い」と決めつけず、投稿本数・頻度・担当者の時給から概算した人件費と、外部委託の費用を並べて比べることをおすすめします。
結局、SNSは自社でやるべきですか?外に任せるべきですか?
社内で継続して投稿を回せる見込みがあるなら、SNS ENGINEのようなツールを使って作業時間を圧縮するところから試せます。本業が忙しく発信にまで手を広げられない場合は、どの範囲を任せられそうか、運用代行・運用支援の相談窓口に一度聞いてみる進め方もあります。SNSに限らずどの手段が自社に合うか比べたい場合は、無料トライアルでまず試して、使用感をみてから決める進め方もあります。
まとめ
- SNSをやるべきかどうかは、SNS自体の良し悪しではなく、目的(集客・採用・ブランド)・人手・費用対効果の3条件で決まる
- 集客・採用・ブランドでは、向く条件も向かない条件も異なり、目的を1つに決めないまま始めると効果が見えにくくなる
- 媒体は、届けたい相手の年代と目的、担当者が続けられる形式から1〜2つに絞る(利用率はLINE92.9%、YouTube81.5%、Instagram54.8%など)
- 広告・求人媒体・ホームページ・紹介とは、費用のかかり方も効果が出る速さも違うため、SNS単体で採否を決めるのは早計
- SNS発信の利用料は無料でも、担当者が投稿に使う時間は人件費というコストとしてすでに発生している。仮の数字でも先に試算しておく
- 効果は、自社で数える最終の成果と、SNSの画面で見る途中の指標(閲覧数・インタラクションなど)を組み合わせ、毎月見直す
- 公式アカウントの管理が不十分だと、一度の不適切な投稿や乗っ取り、広告表示の不備で、積み上げた信用を損なうリスクがある。ガイドラインと初動の担当者を先に決めておく
- 運用代行を使うなら、業務範囲・アカウント権限・報告の数字・契約終了時の扱いを、複数社の見積もりで同じ物差しで比べる
最初の一歩は、集客・採用・ブランドのうち優先する目的を1つに絞り、その目的のために発信を続けられる体制が社内にあるかを確かめることです。
更新日:2026年10月4日 一次情報確認日:2026年10月4日
運営:株式会社PEACE
出典(一次情報・確認日:2026年10月4日)
- 総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)」(2026年10月4日確認/主なソーシャルメディア系サービスの利用率:LINE92.9%・YouTube81.5%・Instagram54.8%・X44.7%・TikTok36.7%・Facebook27.0%、年代別の利用率)
- 総務省「平成30年通信利用動向調査報告書(企業編)」(2026年10月4日確認/平成30年9月末時点調査。インターネット利用企業のうちソーシャルメディアサービスを活用している企業の割合36.0%、活用目的は「商品や催物の紹介、宣伝」67.9%・「定期的な情報の提供」53.0%・「会社案内、人材募集」40.1%)
- 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」(2026年10月4日確認/企業のSNS活用を尋ねる項目が掲載されていないことの確認に使用)
- 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」SNSの正しい利用(2026年10月4日確認/公式アカウントの投稿は企業・組織を代表するものと受け取られること、業務でSNSを使うときの注意点5点)
- 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」事例7 公式アカウントが乗っ取られた(2026年10月4日確認/乗っ取り・偽アカウントが判明したときの対処法(提供会社への停止依頼)と予防法(多要素認証))
- Google広告ヘルプ「入札単価と予算の設定」(2026年10月4日確認/予算は1日に消費する平均費用として設定し、1日の費用は平均予算の2倍まで超えることがあるが、1か月は1日の平均予算×30.4を超えないよう調整されると説明)
- Indeed公式ヘルプ「無料掲載の仕組み」(2026年10月4日確認/求人情報は無料で掲載でき、有料になるのはスポンサー求人という任意のオプションを使った時のみと説明)
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント」(2026年10月4日確認/チャット機能、LINE VOOMの提供終了(2026年9月30日)の案内、事例(L’la citta・ビューティー サロン Be+・JPCスポーツ教室安城店))
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年10月4日確認/コミュニケーションプラン月額0円・無料メッセージ200通/ライトプラン月額5,000円・5,000通/スタンダードプラン月額15,000円・30,000通(いずれも税別))
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」(2026年10月4日確認/SNS投稿も対象であること、インフルエンサー等への依頼・指示も広告に含まれること、規制の対象は事業者であること)
- 違法・有害情報相談センター(総務省委託事業)(2026年10月4日確認/誹謗中傷などネット上のトラブルの相談を無料で受け付けていること)
- Instagramヘルプセンター「Instagramインサイトについて」(2026年10月4日確認/公開アカウントで無料のインサイトを利用できること)
- Instagramヘルプセンター「Instagram投稿のインサイトを表示する」(2026年10月4日確認/閲覧数・インタラクション・プロフィールのアクティビティの定義、投稿のインサイトは最大2年間表示)
- Metaビジネスヘルプセンター「ビジネスポートフォリオでパートナーにビジネスアセットへのアクセス許可を付与する」(2026年10月4日確認/全権限または部分的なアクセス許可(特定のタスクのみ)を付与できること)
- Metaビジネスヘルプセンター「ビジネスポートフォリオにユーザーを追加してビジネスアセットを割り当てる」(2026年10月4日確認/業務上必要なレベルのアクセス許可のみを割り当てること、二段階認証の有効化)
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